トランプ氏、安倍首相との会談を快諾した理由は米国がより多くの利益を得る為である
トランプ氏当選で一刻も早く手を打たなければならないということで早速トランプ氏と電話会談をした安倍首相。産経新聞によると「トランプ氏は日米同盟の重要性を指摘し、安倍首相の業績に敬意を表していたという」との事。そして、早くも17日に会談が実現したわけです。
「安倍首相とトランプ氏は意外と気が合う」などと産経新聞は言っていますが、流石に楽観的過ぎると思います。
トランプ氏は巨額の富を得た超一流ビジネスマンなのですから、日本を上手く利用して美味しいとこ取りするはずです。快く会談を承諾したもの日本の為ではなくアメリカの為なんですよね。当選後のオバマ大統領との会談では、「売春婦の息子」と侮辱したのが嘘に思えるぐらい態度が一変しましたしね。なので表面的な態度をアテにしてはいけないのです。
日米同盟はよりアメリカ優位なものへ
日米同盟の重要性はアメリカと日本とでは全く異なります。武力が少ない日本としては「国防の為には絶対に必要なもの」ですが、世界一の武力を有する米国にとっては「無くても問題無いが有れば米兵の身代わりに出来る」程度のものなんですよね。
つまり、アメリカとしては日本が要望を飲まなければ同盟を解消してもさほど問題が無いので、日本は日米同盟維持の為にはどんなに不利な要求でも飲まなければならないのです。それが分かっているからトランプ氏は会談を快諾したわけです。
安倍首相は国民に「自衛隊を戦争に参加させない」と約束しましたが、トランプ氏が「同盟解消したくなければ前線で戦え、IS(イスラム国)の掃討作戦に参加しろ」と要求されたら一体どうやって切り抜けるのでしょうか? そこは本当に不安です。
あくまでトランプ氏は「アメリカファースト」です。日本の利益など考えません。トランプ氏がやり手のビジネスマンである以上、日米関係を過度に悪化させ米国の利益を損なうような要求はしてこないとは思いますが、限界まで搾り取るのではないかと思われます。
なお、トランプ氏は韓国の朴槿恵大統領とも電話会談をしたようですが、北朝鮮の脅威はアメリカにとっても他人事ではありませんから(むしろアメリカが主要ターゲットなので)、米国にとって米韓同盟は日米同盟よりも重要だと考える事ができます。
日本は米国依存ではなく中国・ロシアとも歩みを進めるべき
トランプ氏が「アメリカファースト」を掲げる以上、アメリカと中国・ロシアの関係は「対立路線」から「協調路線」にシフトしていくかもしれません。「対立」より「協調」がアメリカにとって利益になるのであれば当然のことです。
そうなると困るのが日本。尖閣諸島問題、北方領土問題でアメリカを頼ることは出来なくなります。日米同盟を結んでいても「アメリカにとってメリットの無い領土問題には立ち入らない」という事になりかねないのです。
「日本 VS 中国・ロシア」となってしまっては武力でどうこうするのは不可能です。だからと言って日米同盟維持の為に過度にアメリカの要求を飲むことも危険です。ですから、中国・ロシアとの友好関係を今まで以上に深めて、内側から対立関係を解消していく事がこれまで以上に重要になるのです。
とにかく、今までの様な「世界の警察」のアメリカは期待できません。今後はアメリカに頼らず諸外国と交渉する必要があります。その為にはこれまで以上に柔軟な対応が求められます。