集団的自衛権「賛成」「反対」意見と「矛盾点」のまとめ
2015/11/18
【2015/7/16 追記】
安倍政権が集団的自衛権行使を可能とする安保法案を強行採決しました。国民の8割が納得いかないと強行採決に反対しているのに、それを無視する形で強行した自民党は何を考えているでしょうか・・・。先日の言論封殺問題で一度は反省を口にしたのに僅か数日でこの有様です。安倍政権は民主主義を崩壊させるつもりなんでしょうか。日本の行く先は暗いといわざるを得ません。
以下は去年の集団的自衛権閣議決定した時の記事ですので、当時と状況は変わっていますが、概ねは今でも通用する内容だと思いますで、ご一読いただければと思います。
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先日、集団的自衛権行使容認についての憲法解釈変更の閣議決定がされ大きな波紋を呼んでいます。下記の写真は先日行われた集団的自衛権行使容認の抗議活動中の模様です。
民意を聞かずに半ば強引に閣議決定した安倍首相の行動は疑問ですし、「民主主義とは一体なんなのか?」と日本の将来が危ぶまれる決定でもあったと思います。賛成派の人はたまたま安倍首相の意見と一致しただけであり民意が反映されているわけではありません。つまり、賛成意見がゼロだとしても関係ないということです。
さらに民意を聞かずに強引に閣議決定しただけでは飽き足らず、どういうわけか急ピッチで法整備を進めているという事態です。国民の意見を無視して突っ走っていることに危機感というか裏があるのではないかと感じてしまいます。結果的に与党が勝手に決めて勝手に法改正しようとしているわけですから。
前置きはこの辺にしておいて今回は集団的自衛権の賛成意見と反対意見、そして安倍首相の発言の矛盾点についてまとめてみました。・・・とその前に集団的自衛権について簡単に説明します。
【追記:2015年7月最新版】
この記事を投稿してから1年が経つので状況が変わってきています。なので、改めて記事を書きました。よろしければコチラもご覧いただければと思います。
誰でも理解できる!集団的自衛権メリット・デメリットまとめ
集団的自衛権とは何か?日本と世界の集団的自衛権の違いについて
集団的自衛権とは同盟国が攻撃を受けた場合、自国への攻撃とみなし反撃することが出来る権利を言います。つまり、日本が集団的自衛権を行使するということはアメリカを守るということです。
しかし、日本は「日本人に危害が及ぶ場合のみ」に限定して集団的自衛権を行使するとしています。つまり、日本の集団的自衛権は同盟国ではなく自国を守るためのものです。
本来の意味とは全く逆の意味を成しているので日本のは集団的自衛権とは言えないのです。適切な名称は「在留邦人救出的自衛権」といった感じでしょうか。
賛成意見まとめ
- 集団的自衛権は当然の権利なので行使できて当然
- 日米同盟関係強化で中国等の脅威に対する抑止力になる
- 日本の防衛の為に必要
- 限定的容認といってるので日本が戦争加担する可能性は低いだろう
- 政府を信頼している
ネット上の意見を読むと嫌中嫌韓の人が反射的賛成してる傾向がありますが(ちなみに韓国は同盟側です)、それを除けば、賛成派の人の考えの根底にあるのは「日本の防衛の為」ということに尽きると思います。また、政府を信頼しているから「日本はアメリカの戦争に手を貸すわけが無い!」と思っているのでしょう。
しかし、個人的には限定容認では抑止力や同盟強化にならないと思います。賛成派の意見を聞くとそこにまで考えが及んでいないのではないかと思ってしまうんですよね。こういった部分を考えずに賛成している人は実は日本の未来を考えていないのではないかと疑ってしまいます。
特に賛成派の方々には一度は目を通してもらいたい記事をピックアップしました。時間があるときにでも目を通していただければと思います。
- 集団的自衛権に賛成する前に読んでおきたい記事
反対意見まとめ
- テロ(イスラム国・ISIS)の抑止にはならない。それどころかアメリカと同調すれば日本が確実に狙われるようになる。 (最大のリスクだと思います。中国がいきなり都市部にミサイルを撃つ可能性は限りなくゼロに等しいが、テロリストは都市部で民間人を狙った自爆テロを平然とおこすわけです。)
- 後方支援・限定的容認は日本独自の概念。外国からすれば普通に参戦国として扱われる。
- 戦争を抑制する為に、アメリカの戦争に加担するのは矛盾している
- 自衛隊は「日本を守る」のが本来の任務なのに、成立すれば「人を殺す」ことが新たな任務として加わるから。
- 民意を聞かずに閣議決定すること事態が問題。民主主義に反する
- 嘘ばかり付く政府を信頼できない
- 米国の思うがままにされる
- 徴兵制復活の可能性
- 世界規模の戦争に発展する可能性(詳しくはこちらの記事後半を参照)
- 日本人が世界各国から差別を受ける可能性がある
- 友好国に攻撃を仕掛ける事になる可能性がある(後述します)
- そもそもアメリカが日本を守る保証は無い(集団的自衛権は日本がアメリカを守る権利です)。
反対が多数派はとなっている分、さまざまな意見が多いですがまとめると「戦争に加担する可能性が高まる」ことを懸念しているということです。また先日起きたセクハラヤジ問題で集団で不祥事をもみ消す様な行動があったように政府を不信に思う人が多いです。
また、最近ではイスラム国が問題になっていますが日本が米国に加勢することを表明すれば間違いなく日本も攻撃対象になるでしょう。抑止どころか火に油を注ぐことになる場合もあるのです。
安倍首相が語ろうとしない集団的自衛権のデメリットを解説した動画がすごい
賛成派にも反対派にも見てもらいたい動画を紹介します。
以前自民党が国民の理解を得るために集団的自衛権・安保法制について説明した動画をアップしたのですが、あまりの矛盾に不満を覚えた人も多いかと思います。
この動画は矛盾だらけの安倍政権の主張に反論したパロディ動画です。安倍首相が語ろうとしない集団的自衛権・安保法制のデメリットが分かりやすく語られているので是非ご覧になってください。
ちなみに自民党が作ったオリジナルはこちら。一切のデメリットを語っていません。アメリカの戦争に加担してデメリットが無いなんてこと絶対無いんですけどね・・・
友好国に攻撃を仕掛ける事になるけど、それでも賛成ですか?
アメリカの最大の敵国を知っていますか?
それは中東の国『イラン』です。アメリカとイランは国交断絶していますし、少し古いデータですが下記の記事では中国・北朝鮮を引き離しダントツの1位です。
アメリカにとって最大の敵国は? 1位イラン・2位中国・日本はなんと8位。 海外の反応!
一方で、日本とイランは友好国なんですよね。
友好関係を築いた経緯を簡単に話すと・・・
イランと敵対しているアメリカは、力を付けさせまいと各国のイラン外交に圧力をかけたんです。しかし、日本はアメリカの圧力を物ともせずイランから原油を輸入し続け、その積み重ねが友好関係を築いたということです。
集団的自衛権を行使すれば確実に友好国イランを攻撃し死傷者を出す事になります。攻撃を仕掛けなくても同盟強化した時点で関係は崩れるでしょう。賛成派はこういう事態を想定できているのでしょうか?
また、例えば台湾がアメリカと敵対していたら、震災で多くの寄付をしてくれた人達を殺すことを意味するわけです。それでも「抑止力の為」と割り切れるのでしょうか?
もちろん、集団的自衛権は『権利』であり『義務』ではないですから、日本にとって友好国であれば行使しないという選択も可能ですが、それでアメリカが納得すると思えないですね(つまり抑止力が得られない)。
安倍首相の発言の矛盾点まとめ
安倍首相の発言には2つの大きな矛盾点があります。先日の記事にも簡単に書きましたが再び書きます。
- 「日米同盟関係強化になり中国への抑止力になる」という主張
- 「戦争は断じてない」という主張
1.「日米同盟関係強化になり中国への抑止力になる」という主張の矛盾
まず1つめですが集団的自衛権の限定的行使容認では日米同盟関係の強化にはならず抑止力にはならないということです。なぜなら行使するのは日本人に危機が迫っている場合に限定されているわけですから、アメリカ側は「都合の良い時にしか手を貸さないのか。残念だ」と当然思うわけです。
日本が日本人の危機の時にしか加勢しなければ、同様にアメリカもアメリカ人の危機の時にしか加勢したくないと思うのが普通ですから同盟関係強化にはならないのは明白ですし、そうなれば必然的に抑止力も期待できなくなるわけです。
ただ、奇妙なことに米国の国防総省当局者が閣議決定を高く評価しているのです。日本人に危害が及ぶ時にしか行使しないはずなのにも関わらずです。これは米国が日本の軍事力を利用しようとしているということです。「限定的」でなくなる時は思いのほか早く来てしまうのかもしれません。
2.「戦争は断じてない」という主張の矛盾
そして2つめですが、何故そう言い切れてしまうかが不思議でなりません。
安倍政権が強く訴える「後方支援」は日本独自の概念なんですよね。つまり、海外からすれば普通に戦争に参加するのと同じなんです。
確かにイラク戦争のような積極的な戦争加担は無いかもしれませんが、邦人を救出するために攻撃を加えれば反撃・報復を受けるとこは明らかなわけです。海外からすれば普通に戦争当時国なんですから。反撃や報復を受けても日本は黙って耐えるのでしょうか?もしそうであれば戦争は断じてないと言えるでしょう。
しかし、黙って攻撃を受けて死傷していくわけにはいかないわけで当然応戦するわけです。そうなれば事実上戦争が始まったようなものです。どちらかが降伏するか兵力を尽くすまで殺し合いが続くわけです。
このように武力行使すれば戦争に発展する可能性があることは容易に想像がつくわけです。
追記になりますが、イスラム国の脅威が今迫っています。先日イスラム国は「欧米市民を殺害せよ」という声明を出しました。オーストラリアに対してもテロが予告されていますね。この状況は明らかに集団的自衛権のデメリットが表れています。日本が米国に加勢することを表明すれば間違いなく日本もテロの標的になるでしょう。
集団的自衛権は抑止力どころか火に油を注ぐ行為。イスラム国の躍進で状況は変わった。
原爆による虐殺を反省しないアメリカに加勢する心情的な矛盾
安倍首相始め多くの賛成派は「アメリカ(GHQ)が作った憲法を有難がる必要はない!」と主張しています。自民党もそういうパンフレットを配布していましたよね。
たしかに、アメリカは原爆で罪のない民間人を大量に虐殺し、それについて謝罪もせず、「正しかった」と正当化しているわけです。そんな国が作った憲法を有難がるのは間違いだというのは理解できます。
しかし、そういう人に限って「アメリカに加勢しろ」と言うわけです。経済・文化・民間レベルではアメリカは友好国ですが、戦争に関して言えばこの上無いレベルでわだかまりが存在している国なんですよね。そんな国に自衛官の命をかけて協力するのは矛盾していると思いませんか?
そもそも同盟国アメリカは信頼に値するのか?
あなたはアメリカの失態や疑惑をご存知でしょうか?
シリア、イラクを拠点に活動する世界的な脅威になっている組織「イスラム国」ですが、彼らをここまでの組織にしたのはアメリカであることをご存知ですか(参考)?
シリア政府とアメリカが対立しているのはご存知だと思いますが、アメリカはシリア政府の暴挙を食い止めるために反シリア政府組織に武器を提供したのです。イスラム国も反シリア政府組織なのでアメリカは武器を提供し続けイスラム国は力をつけていったわけです。そして皮肉なことにイスラム国はアメリカに牙を剥き、世界的な脅威となり現在に至るというわけです。
そして、2001年に起きた「9.11アメリカ同時多発テロ事件」や2013年に起きた「ボストンマラソン爆弾テロ事件」がアメリカによって仕組まれた可能性が高いことをご存知ですか(参考)? かつての湾岸戦争はアメリカの捏造証言(ナイラ証言)によって引き起こされたという前例があるわけなので、正直なところ信用ならない国だと私は思います。
湾岸戦争やこれらの疑惑などから考えてアメリカは「利を得るために戦争をする国」だと言えます。日本はアメリカに頭が上がらないので集団的自衛権行使によって良い様に使われ無駄に命を落とす可能性も否定できないのです。
世論調査では賛成・反対ほぼ半々。しかし説明不足の声が多数
7月31日追記:
集団的自衛権に関するテーマがテレビ番組でも連日取り上げられますが、その際の世論調査では賛成派と反対派ほぼ半々といった感じです。番組によって割合は変動していますが賛成が多少増えてきていますね。
しかし、集団的自衛権に関する説明が不足しているという意見は8、9割を占めます。つまり、賛成派の人であっても本当に集団的自衛権が日本の為になるのか分かっていない状態であるということが伺えます。国民が説明不足を訴えているのに安倍首相がその責任を果たさない理由は正直に話せば反対派が増える為というのは想像がつくでしょう。
私は集団的自衛権に反対です。
安倍首相が説明責任を十分に果たせないような代物を到底容認することは出来ないわけです。
おわりに
日本国民であれば賛成派も反対派も「戦争を回避したい」という考えは共通しているわけです。しかし、アメリカにとって戦争はビジネスです。反対派のほうが多いのにも関わらず強引に閣議決定したこと、そして米国の国防総省当局者が閣議決定を高く評価していることが引っかかるのですよね。何もなければよいのですが。。。
個人的に政府には利権に溺れる人が多く信用できません。日本の投票率の低さがそれを物語っていますよね。
追記2:
2015年6月24日現在、安倍政権の暴走が特に目立つようになりましたね。政権支持率も大幅に低下しました。多くの国民が「流石におかしい・・・」と感じ始めたという事でしょう。
黙っていては安倍政権の暴走は止まりません。どんな結果になっても受け入れる覚悟があるなら静観するのもありでしょう。しかし、仮に戦争になればほとんどの人は後悔するはずです。賛成も反対も関係ありません。大切なのは意思表示をする事です。国民一人ひとりが意思を伝える事が重要なんです。
あなたは集団的自衛権に賛成ですか?反対ですか?
国民一人ひとりの意見が国家の行方を左右します。今すぐツイートして自分の意見を広めましょう。
目先の抑止力のために、長年積み上げてきた抑止力を捨てようとする安倍政権
↓ 反対派デモ集団による動画です。安倍政権や賛成派が語ろうとしない安保法制の『デメリット』を”分かりやすく”説明した動画です。