集団的自衛権は自衛ではない&限定的容認の問題点・危険性
2015/11/09
当ブログでも何度か取り上げてきました集団的自衛権の問題点・メリット・デメリットですが、そもそも、国民の多くが集団的自衛権の意味を履き違えているのではないかと感じます。
下記の世論調査では集団的自衛権に反対派が58%という結果が出ています。過半数を超えているとはいえかなり少ない数字です。参加する必要の無い戦争に参加して国民が命を落とすことになるのに、たった58%しか反対意見が無いのは集団的自衛権の意味を履き違えているといっても過言ではないと思います。
毎日世論調査:集団的自衛権「反対」58%
以前、番組の企画で高校生が集団的自衛権に関するディベートを行いましたが、高校生の多くは集団的自衛権がどういうものだか知らないという現状でした。そして、安倍首相は集団的自衛権のメリットばかりを取り上げ、デメリットについては口を閉ざしています。多くの人はテレビのニュースで情報を得るくらいでネットや新聞で情報を精査することはしませんから、集団的自衛権のメリットだけを知り問題点は知ることなく、何となく行使容認に賛成しているのではないかと思うのです。
集団的自衛権は自衛でなく加勢(加担)する権利である
集団的自衛権行使容認に賛成する人の多くは集団的自衛権は自国を自衛するものだと勘違いしているのではないかと思います。
”自衛”という文字が含まれているので自国を防衛する為のものだと直感的に思うのは当然ですし、安倍首相も「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合と限定的容認と主張していますから尚更そう思うのでしょう。
しかし、本当の意味は同盟国を自国とみなし自衛するというものなので、日本を防衛するのではなく同盟国である米国や米軍が配置されている韓国などを防衛する為のものなのです。分かりやすい言葉で言い換えるなら「同盟国防衛権」「同盟国加勢(加担)権」といったところです。日本が戦争に加担すれば恩を売れますが、日本で有事が発生した場合必ずしも助けてくれるとは限らず日本の防衛には繋がる保証は無いのです。
集団的自衛権の限定的容認の問題点・危険性
安倍首相は「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に行使を限定すると言っていますが、そもそもこれはどういう状況なのでしょうか?対米国の戦争に加担しないと日本人の生命や自由が覆されるというケースなんてそうありません。これがもし、「紛争地域に日本人がいる」という状況を想定しているならば、かなりの確立で戦争に加担することになります。例えば今、紛争真っ只中のシリアには日本人が40名在住していると言われています。彼らを助けるために加担するということでしょうか?
そもそも限定的容認とは戦争の引き金をひく条件が限定されるだけで一度戦争が始まればどちらかが降参するまで殺し合いが続くわけです。一度攻撃を加えて終わり、というわけにはいかないのです。
戦地が海外であれば死傷者は自衛官だけにとどまりますが、日本の都心に集中攻撃を加えられたら数百万人レベルで民間人が死ぬことになります。国際ルールで民間人の殺害は禁じられていますが追い詰められればそんなルールは有って無いようなものです。
そもそも、限定的容認と言っていても米国から要請があれば、いつも言いなりだった日本政府が断れるわけもないので限定もなにもないのです。
おわりに
考えは人それぞれですから賛成も反対もあるのは当然ですが、一番発言力のある安倍首相が都合の良いことだけを広めていることは問題です。安倍首相は一度集団的自衛権のメリット・デメリットを国民にしっかりと話した上で決断してもらいたいです。