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武力では中国の領土拡大は止まらない。安保法制がシーレーン防衛の役に立たない理由

   

あなたは、中国が南シナ海を埋め立てて領土拡大し続ければ、日本や米国が中国に武力攻撃を仕掛けると思いますか?

抑止力とは「相手国が攻撃してくるかも知れない」と思わせ、行動を踏みとどまらせる事を言います。つまり、中国に対して「何かあれば日米が攻撃しかけるぞ」と思わせなければならないということです。

安保法制を成立させる最大の理由は、「中国が侵略戦争を仕掛ける」などと言うあり得ない事(徴兵が絶対行われるというぐらいあり得ない)の為ではなく、シーレーンを中国から防衛する為だと言われています。

中国は近隣諸国と領土問題で揉めている場所、つまりグレーゾーンの部分を、隙を付いて次々を埋め立てて中国の領土にしていってるんですよね。これが問題になっているわけです。

この問題を安保法制・集団的自衛権による抑止力で解決しよう日本は考えているわけです。

しかし、安保法制が本当に中国からシーレーンを守る抑止力になるのでしょうか?実はこれ、かなり微妙なところなんですよね。

安保法制が成立しても日本が理性的な国であればあるほど抑止力にはならない

冒頭に書いたように抑止力とは「相手国が攻撃してくるかも知れない」と思わせることなんです。

それではもう一度最初の質問をします。

あなたは、中国が南シナ海を埋め立てて領土拡大し続ければ、日本や米国が中国に武力攻撃を仕掛けると思いますか?

私はそうは思いません。
なぜなら、日本は戦後70年武力行使をしていませんし、もし、安保法制によって集団的自衛権を行使できるようになったとしても日本の基本姿勢は変わらないからです。

日本は領土問題程度では武力行使はしません。米国も日本が「中国を攻撃してほしい」と要請しなければ攻撃出来ません。

日本人自身が「領土問題では日本は中国に対して攻撃を仕掛けることは無い」と思っているわけです。戦後の歴史的事実がそれを証明しています。同じように中国も「このまま埋め立てを続けても日本に攻撃されることは無いだろう」と思うのは当然ですよね。

抑止力を得るには”好戦的”な国だと思わす必要がある。しかし、それには大きな代償を伴う

つまり安保法制はシーレーン防衛には何の役にも立ちません。いくら米国と同盟を強化した所で『攻撃の意思』を見せなければ意味が無いんです。集団的自衛権を行使してアメリカの戦争に”全面協力”すれば、「日本は本気だ・・・」と思わせることが出来、高い確率で抑止力になるでしょう。逆に『限定的容認』だとか『後方支援』だとか”非好戦的なイメージ”を出しているうちは大した抑止力にならないはずです。

つまり、アメリカと同盟を強化することよりも日本自身の姿勢が変わらない限り、武力による抑止力は成り立たないということなんです(領土問題に限った話です)。

しかし、日本が米国に全面協力しようものなら日本の印象はとことん悪くなります。アジア諸国には戦時の日本を彷彿とさせ、アメリカと険悪なアラブ諸国からは敵視されるはずです。このような事態は絶対に避けなければなりません。

領土問題は”日本の強み”を使った外交で解決するしかない

「安保法制は無意味!」などと言うつもりはありませんが、少なくとも領土問題(特に日本の場合)では安保法制が抑止力になることは無いでしょう。外交や経済的戦略などで食い止めていく必要があると思います。

日本には優れた文化が豊富にあり、先進的な技術もあり、さらに高い信頼性も有している国です。そういった強みを生かして外交していくべきだと思います。例えば、中国国内の環境改善(PM2.5問題など)に日本が一役買えば日本の評価は大幅に高まり外交もしやすくなるはずです。

武器を備えることは大切ですが、相手に武器を向けることが抑止力になるとは限りません。

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