多摩美大ポスターの盗用疑惑は完全に黒。なぜ「事実無根」と嘘を付いてしまったのか考えてみた
2015/11/05
佐野研二郎氏の盗用問題の1つに多摩美術大学のポスターがありますが、今回はその件についての考察を書きます。
今回の件は、完全に黒です。トートバッグと同じで佐野氏自身が盗用したわけではないと思いますが、これに関しては擁護するつもりもその余地もありません。
メガネは装着する人ごとに形状がカスタマイズされている為写真のような一致はありえず、同様に以下の影絵も偶然の一致はありえません。人の手はそれぞれ異なるからです。検証しなくても明白です。
というか、過去の作品から盗用が次々発覚するのはトートバッグの盗用が確定した時点で予測できた事です。騒動後に作られた作品に盗用が発覚すれば「ちっとも反省してないな・・・」となりますが、過去の作品であれば「そういう社員がいたのだからショウガナイ」となりますよね。過去は消せませんからね。
ただ、予測外のことが起きました。
佐野氏が代表を務めるMR_DESIGNの広報が
「犬の画像については、紙で切り絵を制作しMR_DESIGNで撮影したものです。メガネの画像については、この作品を担当したスタッフが実際使っていたメガネを撮影し制作したものです」
と嘘をついてしまったんですよね。
仮に切り絵を制作し撮影したものであっても、切り絵の元となった写真は上記の無断利用した写真なんですよね。
なぜトートバッグの盗用は認め、今回は否定してしまったのか不思議でなりません。
嘘を付いてしまった理由を考察
※この部分は個人の見解ですので事実と異なる場合があります。予めご了承ください。
今回の件はこれまでの釈明とは違い、佐野氏本人ではなく広報がコメントしているんですよね。ここに嘘を付いてしまったヒントがある気があると思います。
佐野氏ではなく広報がコメントしたのは、佐野氏が精神的に追い詰められ自分で対応できる状況ではなかったからと考える事が出来るでしょう。
自分で盗用の有無を検証できる精神状態じゃないから、スタッフの「盗用していません」という言葉を信用し広報に代弁してもらった、という流れだと思います。
トートバッグの件でネット民の調査能力の高さを知って、「バレる嘘を付くわけがない。そこまで愚かじゃないだろう」と、スタッフを信用したんだと思います。けど、結果的にスタッフに嘘をつかれ裏切られた。佐野氏、無念。ということではないでしょうか?
無論、そういう社員を雇ってしまったこと、社員教育が不十分だった責任は佐野氏にありますが。
また、「スタッフ任せて自分で検証しないのは甘え。”精神的に追い込まれてる”は言い訳でしかない」と言う人もいますが本当にそうでしょうか?次で解説します。
【追記】
色々とご意見いただきましたが、確かに佐野氏主導で盗用している可能性は否定できません。しかし、それなら内部告発があったりすると思うんですよね。佐野氏のせいでバッシングされているなら誰かしら声を挙げるはずです。小さな会社とはいえ10数名は在籍しているはずですから、佐野氏が盗用を指示するような人物なら、正義感のあるスタッフ一人ぐらい声を挙げてもいいハズなんですよね。でもその気配は無し。だから私は佐野氏が主導で盗用しているとは思いません。
愚かなネット民により二次被害拡大、第三者の利用した佐野氏追い込みも?
今回の騒動で全く関係の無い人も被害にあっています。被害に遭ってるのは大阪の「ミスターデザイン」という佐野氏の会社と同名のデザイン会社です。
スポーツ報知の取材によると、
「無言電話やイタズラ電話がたくさん掛かってきて、すごく不愉快な思いをしています。『佐野さんいらっしゃいますか?』と聞かれて『間違ってますよ』と答えると、ブチッと切られたり…」
というように迷惑電話が殺到しているようです。
公式サイトを見れば明らかに佐野氏とは別人であることが分かるのに、それでも殺到する迷惑電話。なんかもう、「わざと第三者に嫌がらせをして風評被害の責任を佐野氏に取らせようとしているのではないか?」と思わざるを得ないんですよね。
また、第三者でもこれだけの被害があるとなれば、佐野氏本人や家族への嫌がらせは想像を絶するものだと推測できます。既に奥さんやお子さん、親族の写真までネットに晒されていますからね。
写真を晒すということには意図があります。意味も無く晒しませんからね。その意図とは何か?「嫌がらせをする為」ですよね。佐野氏本人だけではなく奥さんや子供にまで嫌がらせをしようと思っているから、そういう写真を拡散しているわけです。
もちろんここまで炎上した事は佐野氏の行動に問題があったからですが、まるで全国指名手配犯のような扱いを受けていることには疑問です。これはもう批判でも何でもなく私刑(リンチ)と言えるでしょう(私刑は違法です)。
ここまで来ると佐野氏の問題というよりは、「佐野氏を利用した新たな事件」です。
普通ならノイローゼになってもおかしくない状況で、佐野氏自身が盗用の有無を検証するのは難しいと思います。
終わりに
本件はこれまでの騒動の中で一番腹立たしい問題ですね。佐野氏騒動の記事を書いた元々の理由は、事実を捻じ曲げ、ありもしないことまで批判材料にしている世論の異常さを批判する為に書いたわけです。しかし、本件ではMR_DESIGNが事実を捻じ曲げてしまいました。
間違いは誰にでもありますし、正せばいいことです。しかし、今回のように事実を捻じ曲げようとする行為は許容できるものではありません。誤りを認める謙虚さは必要です。
個人的には佐野氏およびMR_DESIGNがデザインを盗作しているとは思いませんが(だったら腕のあるデザイナーを雇用する必要は無いので)、デザインに利用する写真等の素材の管理意識や著作権意識の欠如、そして社員教育のいい加減さが目に付くと感じました。
佐野氏を取り巻く異常な状況を考えると同情もしますが、佐野氏自身がもっと厳格にならない限り、同種の騒動は再び起こると思います。