「政府は悪くない、悪いのは人質の後藤さんだ」という政府の世論誘導が始まった模様
2015/11/09
政府の発言がきっかけでイスラム国に殺害された後藤健二さんが誹謗中傷されている
政府は2日”ある事”を明らかにした。
後藤健二さん:世耕氏「外務省が計3回、渡航中止を要請」
政府は後藤さんに対してシリア渡航を止めるように3回要請したというものだ。政府のこの行動は当然であり職務を果たしたと言える。それでもシリアに行った後藤さんは自己責任であることも確かである。
しかし、問題は何故このタイミングで「3回要請した」と大々的に明らかにしたのかということだ。
その答えは明白だ。
責任から逃れる為に後藤さんを利用する政府
結論から言うと、『事件の責任を無くなった人質後藤さんに押し付け、政府には責任は無いと世論誘導している』のである。
この報道を見た一般的な国民はどう思うか?大半はこう思うはずだ。
「3回も要請したんだから政府は”きちんと”やってる。悪いのは言うことを聞かなかった後藤さんでは?」
事実と相違なければそれもありだが実際は違う。政府は”きちんと”なんてやっていない。今回の事件での政府の失態の一部を取上げよう。
政府は人質が拘束されている時に・・・
- イスラエル国旗の前での演説しテロリストを挑発(これはアラブ人への挑発でもある)
- 700億円もの税金と交渉の為の時間を無駄遣いして暢気に解散総選挙
これらは明らかに人質の生存率を下げるものであり、政府の過失だ。
そして「後藤さんに3回要請した」というのは政府がやるべきこと100個の内の1つでしかない。
たったこれだけで、「政府はやるべきことはやった」という世論はあまりにも短絡的であり、そのように仕向ける安倍政権には憤りを感じる。
国民の大半はメディアで報道されている表面的な情報しか見ない。つまり100個の内の1つを大々的に取り上げれば「政府はちゃんとやっている。政府に責任は無い。」と印象付けるのは簡単なことなのである。
政府にとって都合の良い面だけアピールして、悪い面は口を閉ざす。これが世論誘導ではなく何だと言うのだろうか?これまで政府がやってきたことの経緯を洗いざらい明らかにすれば「政府には一切の責任は無い」などという世論にはならないはずだ。
今回のことは明らかな責任逃れであり、責任転嫁だ。こうしたことはこれまでもあった。このようなものだ。
- 集団的自衛権の説明責任
- 大儀無き解散総選挙の説明責任
- 批判意見を黙殺する安倍首相
集団的自衛権に関しては安倍首相はメリットだけを説明し、デメリットは一切説明しなかった。一番のデメリットは今回の事件のように日本人がテロの標的になったり、報復されたりすることなのである。人命救出よりも犠牲のほうが先にきてしまったわけだ。元も子もない。
2014年末に行われた解散総選挙も国民の大半が反対しているのに700億円もの税金を投じ実行した。しかし明確な説明は無かった。しかも人質が拘束されている時期に救出より優先したのだ。
そして、安倍首相は自身のフェイスブックで批判意見をブロックしている。自分を賛美してくれるコメントだけを容認しているのだ。首相というのは国民全ての意見に耳を傾けるのが仕事だ。都合の良い意見だけ聞いて批判は聞かないというのは職務放棄でしかない。
というように安倍政権はとにかく無責任さが際立つ。
話が反れたが戻そう。
今回の件、世論誘導以外にももう一つ大きな問題がある。
政府の発言がきっかけで後藤さんが誹謗中傷される
それは政府のこの発言がきっかけで後藤さんが誹謗中傷され始めたのだ。「政府の言う事を聞かなかった後藤さんが悪い」と。
このような発表をすれば後藤さんへのバッシングが始まることは容易に分かることなのに、それを承知で”あえて”発表したわけだから政府の魂胆はみえみえだ。口先では「国民の為」などと言ってるが、実際は自身の保身の為に後藤さんを批判の的に仕立て上げたのだ。まったく血も涙も無い。もし、「そんなことは想像もしてもいなかった」と言うなら軽率すぎる。こういう軽率さが今回のテロの引き金になったわけなのだから。少しは学習してもらいたい。
そして政府は後藤さんを『蛮勇』と批判。
イスラム国事件 高村氏、後藤さんは「蛮勇」 渡航自粛すべきだった
死者に鞭打つような発言だ。政府が後藤さんを救出したのなら言う権利はあるが、救えなかった政府がどうしてそんなことが言えるのだろうか?後藤さんを蛮勇だというなら、人質が拘束されている時に、イスラエル国旗の前で演説したり、テロに屈しないと表明してテロリストを挑発する政府の行動は『蛮行』だ。
この事実を知って政府を一切批判しないどころか、亡くなった後藤さん叩きに夢中な人々は一体何を考えているのだろうか?国民あっての政府であり国なのだ。保身のことばかり考えている政府に一体何が期待できるというのだろうか?
不思議なことに人質を救出できなかったことに対する謝罪的な発表は一切無い。イスラム国に拘束されたフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、トルコの人質は解放されているのに、日本は解放されなかった。これは政府が「力不足」だからだ。政府の力不足がこの結果を招いたわけなのだから謝罪の意を示すのは当然のことなのに、「テロリストが悪い」「人質が悪い」と言って責任逃れをしている。
安倍政権に限らずだが、政治家による責任転嫁であったり責任擦り付け合いはとても多い。
こういった行為は見苦しいだけではなく、日本の行く先を不安にさせる。国民の批判に目を向け、国民の為になるような政治をしてもらいたい。
イスラム国問題最悪の結末へ。この結果は『平和ボケ』が原因である。そして今後日本はどうするべきか?
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