桜田五輪相が言った白血病の池江選手へのガッカリ発言は本当に酷いのか?
先日、白血病を告白した水泳の池江璃花子選手に対して、桜田義孝五輪相が『ガッカリしている』と発言したことで大きな批判を受けているようです。
大多数の国民や野党政治家は桜田五輪相を批判していますが、安倍政権支持派には擁護する意見や、「マスコミの切り取りだ」とマスコミ批判に転ずる人も多いようです。
結論から言ってしまうとガッカリ発言は悪意は無いものの結果的には酷い発言だと思います。
この件について私の見解を述べたいと思います。
桜田義孝五輪相のガッカリ発言の全文
まずは、余計な誤解を生まないように、桜田五輪相の発言の全文を載せておきます。
「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」
というように、ガッカリ(がっかり)という発言はあったものの、池江選手を心配しているように思える発言は添えているようです。
桜田義孝五輪相のガッカリ発言はどういう意味で使われたのか?
まず、『ガッカリ』という言葉の意味について調べて見ました。
大辞林 第三版より
がっかり
( 副 ) スル
① 事が思いどおりにいかず、気落ちしたさま。 「試験に落ちて-する」
② 疲れて元気をなくしたさま。がっくり。 「 -と俄に草臥くたびれた様に覚える/斑鳩物語 虚子」
③ 「がっくり② 」に同じ。 「 -首を抜いてクン〱睡つて居る/南小泉村 青果」
一般的には「思い通りにならず気落ちしたさま」を表す時に使われる言葉ですね。
桜田五輪相は「期待している選手なので、がっかりしている」と発言しているので、そのままの意味ですね。
これでは病状の心配よりも大会に出場できない事に意識が向いていると受け取られても仕方が無いと思います。
それに加えて「その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と再び大会の心配をしています。
悪意のある発言ではないものの、これでは批判を浴びるのは仕方が無いと思います。
立場は分かるが五輪の心配はすべきではなかった
立場的に桜田五輪相が大会の心配をするのは分かりますが、やはり不適切な表現と言わざるを得ないですね。
全文には池江選手の病状を心配する言葉も含まれているものの、全文の半分以上が五輪についての心配について書かれているので、どうしても人命よりも大会を優先しているように感じてしまうんですよね。
そもそも、『病状の心配』と『大会の心配』を同じ文章に入れるべきではないんですよね。『人命』と『大会の成功』を天秤にかけているよう見えてしまうからです。
桜田義孝五輪相の過去の問題発言
桜田五輪相は過去にも色々と問題発言をしているようなので調べてみました。
慰安婦問題での発言
慰安婦問題ではこのような発言をしています。
「売春防止法が施行されるまでは職業としての娼婦だ。ビジネスだ。」
「これを犠牲者のような宣伝工作に惑わされ過ぎている」
たしかに、職業娼婦もいたとは思いますが、そうでない人も大勢いたはずです。それは双方の可能性を裏付ける資料や証言があるからです。
日本人慰安婦の証言にも「酷い扱いを受けた」というものがいくつもあるので(城田すず子さんの証言が有名ですね)、桜田五輪相のこの発言はそういった人の気持ちも踏みにじる事になります。
原発事故での発言
東日本大震災で起きた福島原発事故に際してもこのような発言をしています。
「(ごみは)原発事故で人の住めなくなった福島に置けばいい」
被災して住む場所を奪われた福島県民の気持ちを考えたらこのような発言は出来ませんよね…。
サイバーセキュリティ担当なのにパソコン使った事が無い
これは人権問題とは関係ないことですが、記憶に新しい人も多いと思うので紹介。
桜田五輪相は2018年末におこなわれた内閣改造でサイバーセキュリティ―担当大臣にも就任しています。
しかし、桜田五輪相はこのような発言をしています…。
「私は25歳の時から独立してやっている。そういうことは、常に従業員に秘書に指示することでやっている。自分でパソコンを打つことはありません!」
「(USBを)使う場合は穴を入れるらしいですけど、細かいことは私はよくわかりませんので、専門家に答えさせます」
パソコンは使った事がない、USBが何なのかも分からない…。酷いと思いませんか?
もちろんこれは桜田五輪相の問題というよりは「適材適所」と言って任命した安倍首相に問題があるのですが…。
まとめ
というわけでまとめます。
- 期待していた選手が五輪出場できずガッカリと言ったのは事実
- 病状の心配よりも大会の心配を伺わせる発言はすべきではなかった
- 桜田五輪相は過去にも人の気持ちを考えない問題発言をしていた
ということで、桜田五輪相のガッカリ発言は酷いというのが結論です。
悪意は無くとも場所とタイミングを間違えれば酷い発言になるということです。
ガッカリ発言を謝罪・撤回した桜田五輪相
その後、桜田五輪相は「配慮を欠いたと思うので、おわびをし、撤回する」と自身の誤りを認めました。
どちらかと言うと無理矢理に擁護してマスコミ叩きに転じている人達の方が問題なのかも知れません。