【私ならこう改憲する】『政治家主体』の憲法改正に意味はあるのか?
第四次安倍内閣が発足され、安倍首相は与野党に改憲議論をするよう呼び掛けたようです。しかし、この改憲には様々な問題が潜んでいます。それについて今回はまとめてみます。
憲法とは政治家の権力を抑制する為のもの。だから政治家主体の改憲は問題
自民党を中心に憲法改正の声が上がり、自民党支持者もそれを望んでいるようです。
しかし、世論を見る限り、『国民主体で改憲を主張しているのではく、自民党が言い出したからそれに賛同している』といった構図なんですよね。つまり、自民党が改憲を言い出さなければ、多くの国民は現行憲法のままでも何不自由していなかったのです。
要するに今起きてる改憲すべきという風潮は『政治家主体』なのです。これは大いに問題があります。憲法は政治家の権力を抑制する為のものだからです。
政治家は国民の行動を抑制する為に法律を作るわけです。それ自体は問題はありません。しかし、政治家の権力を抑制する憲法まで政治家に作らせたら政治家に無限の権力を与える事になりかねないのです。
もちろん、最終的には国民投票によるジャッジがあるわけですが、それでも政治家優位である事には変わりありません。なぜなら、政治家が提案した憲法に賛成するか反対するかを決める為ものだからです。賛成すれば政治家にプラスになりますが、反対しても現状維持になるだけで国民にプラスにはなりません。
本当に国民の為になる改憲をやるのであれば国民が改憲案を提出し、それを国民投票でジャッジすべきです。
『時代に合わせた憲法』が『自衛隊9条明記』なら改憲は不要である
安倍首相は「時代に合わせた憲法を作る必要がある」などと発言していました。その一つとして挙げたのが『自衛隊の存在を9条に明記』する事です。
これは本当に『時代に合わせた憲法』なのでしょうか?
そもそも1954年に自衛隊が誕生した時から自衛隊違憲説を唱える人はいたわけですから、自衛隊9条明記を『時代に合わせた憲法』の理由にするには無理があるわけです。むしろ、今は昔ほど自衛隊を違憲だと考えている人はいないので、今さら憲法に明記する必要があるとは思えません。
要するに安倍首相は『無理矢理に理由を作ってまでも改憲がしたい』ということです。それは自民党の結党理由を知れば分かります。自民党は『改憲を目的に作られた政党』なのです。
自民党公式サイトの要綱にはこう書かれています。
新しい憲法の制定を
私たちは近い将来、自立した国民意識のもとで新しい憲法が制定されるよう、国民合意の形成に努めます。そのため、党内外の実質的論議が進展するよう努めます。
(1) 日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す
これを見る限れば、『時代に合わせた憲法』などと言うのは詭弁であることが分かります。自民党は改憲ありきで考えていて、その為に『時代』という理由を後付けしているのです。
改憲の必要が全く無いとは思いませんが、自民党や安倍政権主体による改憲はやるべきではないと思います。
憲法改正のメリット・デメリット
改憲で最も大切なのはメリットとデメリットをきちんと把握しておくことです。
安保法制や共謀罪の時もそうでしたが、ルールを作る側は自分に都合の良い事しか言いません。そして、日本では与党が圧倒的な影響力を持っていますから、自分たちの都合の良いように世論をコントロールする危険もあるのです。
それを踏まえた上で、改憲のメリット・デメリットをしっかりと把握していく必要があるわけですが、自民党も『自衛隊9条明記』の事ばかりで他の部分についての言及はほとんどありません。これは国民に支持されないからだと推測できます。つまり、現状での改憲は国民にデメリットになる可能性が高いということです。
私ならこう改憲する
私は基本的には護憲派ですが、改憲するならば以下の内容を明記すべきだと考えます。
首相の権力を制限し『大義無き解散』を禁止する
これは立憲民主党の枝野氏も言っていました。
前回の選挙では『大義無き解散』が問題になりました。任期を1年以上残し、600億円もの税金を使い、取って付けたような理由で解散したわけです。
こんなことは認めてはなりません。だから、憲法に明記し首相の解散権を制限すべきだと思います。具体的には、任期を多く残して解散する場合は、国民投票を行ない国民の判断を仰ぐべきだと考えます。
敵基地攻撃能力を可能に。代わりに『先制攻撃の禁止』を明記
現状の憲法でも個別的自衛権で日本を守る事は可能ですが十分とは言えません。
例えば、万が一戦争になった場合、日本に飛んでくるミサイルや戦闘機などを撃墜するだけでは不十分なのです。現行憲法では他国を攻撃する武力の保持は禁じられているので、北朝鮮のように弾道ミサイルを保有している国と戦争になった場合は一方的にやられることになってしまうのです。なので、『敵基地攻撃能力』は認めるよう改憲すべきです。
一方で、『敵基地攻撃能力の保有』を認めると、政治家の誤った判断で他国に攻撃を仕掛ける危険が出てきます。ですから、『先制攻撃の禁止』の明記も必須です。
「先制攻撃を禁止したら抑止力にならないのでは?」と考える人もいるかも知れませんが、全くそんな事はないんですよね。「日本を攻撃したら反撃で我が国が焦土化される」と思わせる事が出来れば抑止力になるのですから、先制攻撃は必要無いのです。
むしろ、先制攻撃が可能な方が要らぬ危険を招きます。先ほど言ったように、誤った判断で戦争に踏み切ってしまう他に、「先制攻撃される前に日本を壊滅させるべきだ」と考える国が出てくるかも知れないからです。
繰り返しになりますが、『敵基地攻撃能力の保有』と『先制攻撃の禁止』はマストです。
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自民党・安倍政権は上記のような事は言及を避けていますが、これはつまり『改憲の必要性に迫られているとは本気では考えていないから』だと思うんですよね。本当に改憲が必要だと思っているなら『自衛隊9条明記』といった回りくどい事をやらず、真正面から必要性を訴えればいいのです。