北朝鮮ミサイル発射でJアラート。長野県で鳴るも何故かその延長線上にある東京都では鳴らず。政府の対応に作為的なものを感じざるを得ない
2017/09/15
29日の朝、北朝鮮が事前通告無しにミサイル発射実験を行い日本上空を通過させました。かなり広域で『北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難してください』と伝えるJアラートが鳴ったので多くの国民がパニックに陥ったことが予想されます。
安倍首相は「ミサイルの動きは完全に把握していた」と発言しましたが、正直今回の政府の対応には疑問を感じざるを得ません。
画像はNHKより引用
※この記事に書いたことは8月29日時点の考えです。広域化についての考え方等、現在とは異なります。予めご了承ください。
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官邸の「これまでにない深刻かつ重大な脅威」発言は過剰
発射されたミサイルは北海道上空を通過して1180km沖の公海に落下しました。排他的経済水域でもなく領海でもありません。日本上空を通過したことは大変な脅威ですが、落下地点そのものは最近のミサイル実験よりは安全圏です。
そうであるにもかかわらず官邸は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と発言しました。これまでも日本上空をミサイルが通過したことはあったわけですから、明らかに過剰な発言だと思います。
今回の政府の対応を見る限り、「これまでにない深刻かつ重大な脅威」というのは政府に作為的なものを感じざるを得ません。
ミサイルは北海道上空を通過したのにも関わらず、Jアラートは長野県や茨城県も対象に
会見で安倍首相は「ミサイルの動きは完全に把握していた」と発言しましたが、それにしてはJアラートの範囲が広域過ぎるんですよね。北海道上空を通過するミサイルだと分かっていたのに、なぜか長野県や茨城県までJアラートを通知しているんです(ミサイル迎撃した際に飛散する破片を考慮しても広域過ぎます)。
更におかしいのは長野県の延長線上にある東京都にはなぜかJアラートは通知されていないんですよね。日本上空を通過する軌道で長野県に落下の可能性があるなら同様に東京都にも落下するはずです。
それに、落下すれば東京の方が犠牲が多く出るはずです。人口過密都市であり重要な施設も数多くあるわけですからね。でもなぜか東京にはJアラートは通知されず避難対象区域でもありませんでした。
つまり作為的に、何らかの思惑があって、東京都をJアラートの対象から除外したのではないかと言う事なんです。
Jアラートの広域化は『慣れ』が生じ、ますます避難しなくなる
今回のJアラートで避難した人は殆どいなかった事がSNSなどで分かっています。着弾前にJアラートが鳴っても避難しなければ無意味なわけです。
そして、今回の様に無駄にJアラートの範囲を広域化すれば、今後は北朝鮮がミサイル発射実験をするたびJアラートが鳴る様になってもおかしくありません。
頻繁にJアラートが鳴れば「またJアラートか。今回も大丈夫だろう」と慣れが生じ、ますます避難しなくなります。
これは日本で度々起こる地震によって立証済みです。たまに起こる地震はとても恐ろしく危機意識を持ちますが、あまりにも頻度が多いと多少の程度の揺れでは動じなくなってしまうのです。
だからJアラートは、ミサイルやその残骸が落下する可能性が特に高い場合に限定して、かつ、エリアも限定的に通知すべきだと思います。
政権支持率回復の為の作為的な行動か?
「ミサイルの動きは完全に把握していた」のにも関わらず、広域なJアラートの通知、そして東京の除外。その上で「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と煽るわけです。
状況を見れば過去にもあったレベルのミサイル発射実験なのに、あえて落下の可能性の無いエリアにまでJアラートを通知することで、政府が「これまでにない深刻かつ重大な脅威」を作為的に演出した可能性があると考える事が出来るわけです。
政府が何故そんなことをするのかと言うと政権支持率回復の為です。昔から、国民が危機的状況に立たされると政権支持率が上昇することは実証済みです。アメリカでも「トランプが支持率回復を狙って戦争を起こすのでは?」と心配の声が挙がっていますしね。また、北朝鮮が顕著でしょう。北朝鮮はアメリカという明確な敵を作ることで国民の統制を図っているわけです。
長野県の延長線上にある東京都がJアラートの通知が除外された理由も『政府による作為的な演出』と考えれば辻褄が合います。「ミサイルの動きは完全に把握していた」なら東京でJアラートを鳴らす必要はありませんし、必要が無いのに東京でJアラートを鳴らせば経済的損失が大きいからです。
一国の首相が国民の不安を利用しているなどとは考えたくないですが…。
政府は国民を過剰に煽って不安にさせるべきではない
北朝鮮問題は脅威ですが、アメリカが対応を誤らない限り政府が煽るほど切迫していないと思います。アメリカが戦争を仕掛けない限り北朝鮮が日本にミサイルを落す理由はありませんからね。もちろんミサイル実験に失敗して日本に落下する可能性がありますが、そこは自衛隊のミサイル迎撃能力を信頼しましょう。
問題はミサイル落下の恐れの無いエリアまでJアラートを通知し、国民を過剰に煽って不安にさせる事です(東京が除外されてる時点で「念には念を」という言い訳は通用しません)。
過剰に不安を煽ればミサイルが落ちなくとも国民はパニックに陥り事故が起こる可能性が出てきます。
Jアラートによる衝突事故が既に発生している
実際に今回のJアラートが原因で衝突事故が起きています。デーリー東北によると青森県八戸市454号線でトラックとトレーラーが衝突。トラック運転手は「ミサイル警告音に気を取られた」と話しています。
「ミサイル警報音に気を取られた」 トラックとトレーラー衝突/八戸
安倍首相が言うように「ミサイルの動きは完全に把握」していて、1180km沖の公海に落下すると分かっていたなら、Jアラート鳴らす必要すら無かったんですよね。
今回は排他的経済水域よりも外側の公海に落下したわけですが、排他的経済水域でもJアラートは鳴らさないのに、今回は鳴らしたわけです。おそらく実験的な目的もあったのでしょう。
今回は早朝だったこともあり、こういった二次被害も少なく済みそうですが、日中であればもっと大きな被害があった可能性が高いわけです。そういう意味でもJアラートの使い方はもっと限定的であるべきです。
根本の原因は北朝鮮にあるわけですが、二次被害を生み出さないようにするには政府の対応次第なんですよね。政府には適切な判断をしてもらいたいですね。
過剰対応は経済的損失も大きい
今回のJアラートは北海道、東北地方、甲信越地方と関東地方の一部に一斉通知されているので、およそ2000万人以上が避難対象になったわけです。
今回は就寝時間中の人も多かった為、経済的損失は大したことは無かったと思いますが、もし、これが日中の出来事で皆が仕事を中断して避難したら莫大な経済損失になります。
ですからJアラートの通知範囲は最小限に留めるべきです。勿論、安倍首相が言うように「ミサイルの動きを完全に把握」が前提条件ですが。
地下?頑丈な建物?多くの人は避難する手段すら無いのが現実
政府は『頑丈な建物や地下に避難してください』と避難勧告を出しますが、ミサイルの衝撃耐えられる頑丈な建物や地下シェルターなんてものは都心の限られた場所にしかないのです。
そういった状況で『頑丈な建物や地下に避難してください』という指示は、必要以上に国民の不安を煽るだけです。
20年以上前から北朝鮮は日本に届くミサイルを保有していたわけですから、その間それなりの数の地下シェルターを建設する事も出来たはずです。しかし、政府はそれをやらず非現実的な避難を呼びかけ国民を不安にさせているわけです。
それに原発問題もあります。そこまで危機迫っているのなら何故最も標的になりやすい原発を推進するのかと思うんですよね。北朝鮮が核兵器放棄しても原発にミサイルが撃ち込まれたら核兵器を使われるのと同じなんですよね。対応が矛盾しているわけです。
Jアラートが駄目だと言ってるのではありません。避難通知の過剰な広域化だったり、避難を呼びかけておいて肝心の地下シェルターを建設しない、標的になる可能性が高い原発を推進する事が問題なのです。
そして、今回のJアラートで一体何人が着弾までの間に地下に避難することが出来たのか気になるところです。
逆に政府はミサイルの動きを全く把握していなかった可能性も
ここまでは安倍首相が言うように政府が「ミサイルの動きは完全に把握していた」という前提で書きました。しかし、逆もあり得るんですよね。
全くミサイルの動きが予測出来ず、「多分日本海に落ちるだろうから、とりあえず北海道から長野までJアラートを出そう」と指示したケースです。それなら東京や千葉が除外されても辻褄が合います。そして、安倍首相の「ミサイルの動きは完全に把握していた」という発言は国民に良い顔をする為の嘘だったと。
もしこれが事実ならそれこそ問題です。自衛隊にミサイル迎撃能力は無いってことになりますからね。
ですので、私の見解は最初に述べたものになります。それなりに自衛隊の能力に自信があるから、あえて広域にJアラートを通知したり、東京や千葉を除外したのだと思います。
政府の不誠実さや説明責任を果たさないから疑惑が生まれる
もしかしたら、Jアラートで東京や千葉が除外されたのは正当な理由があるのかも知れません。しかし、安倍首相や政府の発言にほころびがあるから色々と疑ってしまうんですよね。
だから政府は国民に対し説明責任を果たすべきです。国民が納得いくよう今回の件を事細かに説明するべきだと思うんですよね。
例えば…
- どういう基準でJアラート通知地域を決めたのか?
- ミサイル落下危機が迫っているはずなのに、深刻な被害を生みだしかねない原発を推進する理由
- 北朝鮮が日本を射程に収めた弾道ミサイルを保有してから20年経っても、なぜ地下シェルターを作らないのか?
こういう説明責任を果たさずに避難だけ呼びかければ、色々と勘ぐってしまうのは当たり前だと思うんですよね。森友問題も加計問題も日報問題も政府が国民に納得いく説明をしないから不信がられるのです。
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※この記事に書いたことは8月29日時点の考えです。広域化についての考え方等、現在とは異なります。予めご了承ください。
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