【福島原発・今村復興相】自主避難者への支援打ち切りは生活保護受給の入口である
今村復興相が自主避難者に対して「自己責任」などと言ったことが問題なりましたが、これについて撤回・謝罪がありました。また、安倍首相も被災地に訪問した際謝罪しています。当初は発言撤回を拒否していましたが、被災地訪問をした安倍首相のメンツを保つ為にも謝罪せざるを得なかったという事でしょう。
「自己責任」発言は撤回されたものの、自主避難者への住宅支援が打ち切られる事実は変わりません。これは深刻な問題です。
自主避難者への住宅支援打ち切りで起こり得る問題
当初私は「財源に限りがあるのだから”優先度”が低い自主避難者の支援が打ち切られるのは仕方が無い」と思っていました。しかし、よくよく考えてみると、それは浅はかな考えだと思い至りました。
自主避難者は以下の2つに分類できます。
- 政府指定の自主避難者
- 独自判断の自主避難者(政府の支援無し)
「政府指定の自主避難者」は今回支援が打ち切られてしまう自主避難者の事です。「独自判断の自主避難者」は元々住宅支援が存在しない自主避難者です(例:東京から大阪に避難した人)。後者については今回は割愛します。
自主避難者にも色々な人がいますが、被災から6年経った今、10代、20代であれば新天地で新たな生活の基盤を構築できていると思います。
しかし、40代、50代で避難した人はどうでしょうか?
県外に避難すれば当然今までの仕事は辞める必要があるわけですよね。そして、再就職の必要があるわけですが、余程のキャリアが無い限り40代、50代の人を採用する会社は稀でしょう。バイトならいくらでもあると思いますが、40代、50代と言えばまだまだ子育ての真っ最中です。バイトで何とかなるわけがありません。
今までは住宅支援のおかげで、なんとかやり繰り出来たかもしれませんが、支援が打ち切られればまともに生活ができなくなるのは容易に想像が付きます。生活保護に頼らざるを得ないでしょう。
自主避難せず居続けても生活を維持するのは難しい
「自主避難なんだから自分の責任だろ」
こういう意見もありますが、避難せずに居続けたところで仕事を続けられたと思いますか?
その人自身が仕事を続ける為に避難せずに居続けたとしても、他の人が県外に避難すれば産業は衰退して仕事が成り立たなくなってしまうわけです。風評被害などで福島産を避けることも仕事を奪う原因に繋がります。
これを自己責任で済ませるのはあまりに酷だと思います。
自主避難エリアを政府が指定したことが恐怖を煽った
そもそも、政府が自主避難エリア(自主的避難等対象区域)などという中途半端な指定をしてしまった事が混乱を招く原因になったのだと思います。
政府がどういうつもりで指定したのかは分かりませんが、「このエリアに住んでいる人は自主判断で避難してください」と言われれば、「直ちに影響はないけど、先の事は保証できないってこと?」と不安になるのは当然ですよね。
震災からしばらくは被災地でなくても水道水の汚染が気になり水道局の水質調査を毎日確認するぐらい不安だった人は多いと思います。実際私は1か月ぐらいは確認していました。被災地の報道がされなくなってからはそういった心配は薄れていきましたが、自主避難エリアに住んでいる人は日々現状を目の当たりにしているわけですから、6年経った今も心配は続いているかもしれません。
自主避難エリアとはいえ政府が指定するという事は事態の深刻さを印象付けてしまうんですよね。そうなると、ほとんどの人は安全を考え自主避難を選択することになります。子供がいるなら尚更です。不安に思う気持ちは立ち入り禁止区域の避難者と変わらないと思うんですよね。
そして、今回の自主避難者だけが支援打ち切りに。
福島の自宅に戻れたとしても現地で再び就職活動しなければならないわけです。当然、震災以前は存在した会社は無くなってたりするでしょうから、以前よりも就職できる可能性は低いと思います。土地の安全が保障されても生活は元には戻りません。
政府は今後どういった対応をするのか?
今回支援を打ち切った自主避難者に対して、政府は今後どういった対応するのか気になるところです。
財源の都合上、金銭的な支援を出来なくても就職先の斡旋などは必要です。
原発は国策で政府が推進してきたものです。今の事態を生んだのは紛れもなく政府の責任なわけですから、対象者が路頭に迷う事のないようしっかりと対応すべきです。