景気回復にはアベノミクスより”信頼”が重要である理由
先日、国税庁が民間企業の2015年の平均年収が前年比5万4000円増と3年連続で増加していることを発表しました。安倍首相はこの数字などを根拠に「景気は順調に回復している」と主張していますが野党は否定的です。
私も野党の主張と同じで「平均年収の増加=景気回復(アベノミクスの成功)」ではないと思うからです。。なぜなら、一部の富裕層だけの年収が増えるだけでも平均年収は上がるからです。
実際、アベノミクスの基本構造は「まず富裕層が恩恵を受け、その後に庶民に還元されていく」という政策であるわけですが、現実は庶民に還元されておらず富裕層止まりです。つまり、平均年収は上がったものの庶民は全く景気回復を実感出来ない状況なのです。
そして、庶民の年収は横ばいなのに、アベノミクスと増税により物価ばかりが高騰するため実質賃金は低下、景気回復を実感するどころか生活は苦しくなったと感じる人の方が多いわけです。
先ほども言った通り、現時点でアベノミクスの恩恵を受けているのは富裕層ばかりであり、庶民が恩恵を受ける「トリクルダウン」が起こる気配はありません。つまり、このままアベノミクスを進めても恩恵を受けるのは富裕層であり、庶民の収入は今後も変わらず。そして物価は上昇しますから実質賃金は下がり、どんどん苦しい生活を送る事になります。
庶民が恩恵を受けない限り、庶民はお金を使いません。むしろ実質賃金の低下により財布のヒモはより固くなるでしょう。当然、経済は回りませんよね。これがアベノミクスの限界なんです。
政治家は小手先の経済政策よりも「信頼を得る事」から始めるべき理由
景気回復の為には庶民の財布のヒモを緩める必要があるわけです。
その為にはアベノミクスのような小手先の経済政策よりも、国民が安心して消費出来る環境を作ることだと思うんですよね。
国民の多くが将来の不安から必要以上に貯金をしてしまっているんです。過剰な貯金分を消費に回せば経済は一気に好循環するはずです。
けど、それが出来ないのは「政府が信用できない」からです。
「頻発する政治家の不祥事」、「年金の情報漏えい問題」、「税金の無駄遣い」などなど将来が不安になるような問題ばかり起きているわけです。こういう問題が続けば「国には期待できないから自分で貯蓄しよう・・・」と考え消費が落ち込んで当然ですよね。逆に、将来の事を安心して任せられる国であれば必要以上に貯金をせず消費しようと思うわけですよね。
だから、景気回復にはアベノミクスのような小手先の政策よりも先に、国民に信用される政治家になることが先決なのです。
国民が置かれた状況を理解せず「景気は順調に回復している」と言っているようでは、国民の不信感は募る一方だという事を安倍首相は自覚すべきです。そうしなければ国民は消費せず、本当の景気回復は訪れないでしょう。