パリ同時テロと難民差別。テロが起こる根本的な理由

2015/11/14

１１月１３日から１４日かけてパリで発生した同時テロ。容疑者の一人は「シリアに軍事介入したせいだ」と主張しています。

とても酷い事件ですが、一方で同時に起こる日本でのシリア難民への差別的な発言も酷いと思わざるを得ません。

難民＝テロリストというモラルの無い前提条件

一部の人達は「難民にテロリストが紛れている可能性があるから難民受け入れに反対」と主張します。確かにその可能性は否定できませんが、そういった理由で難民受け入れを拒否するのは差別でしかありません。

例えば、以前秋葉原で無差別殺傷事件が起きましたが、「日本人は無差別殺人を起こす可能性があるから入国できません」と言われたらどう思いますか？極一部の人のことでこういう仕打ちを受けるのは理不尽で差別的だと思うはずです。テロの可能性を理由に難民受け入れを拒否するのはそれと同じ事なんですよね。

難民受け入れを拒否してもテロは無くならない。逆にテロのリスクが高まる

仮に難民にテロリストになる可能性がある人物が紛れていたとしましょう。その場合受け入れ拒否すれば目先のテロは防げるかも知れません。しかし、広い目で見ればそれは逆効果で、むしろテロのリスクを高めます。

テロは価値観の押し付けや差別的な扱いにより憎悪が蓄積されていき最終的にテロに至るんですよね。相手への憎しみがテロの根源です。つまり、「難民はテロリストの可能性があるから」という差別的な理由で受け入れ拒否をすれば、憎悪は高まりテロのリスクも高まるわけです。

テロに国籍は関係ない

テロは思想の問題であり国籍は関係ありません。日本人でも数名イスラム国（ISIS）に参加している人がいます。日本人だけではなく世界中の人がイスラム国（ISIS）に参加しているんですよね。つまり、テロリストは同じ思想を持った集団であり国籍は関係ないのです。

なので、難民の受け入れを拒否しても意味がありませんし、差別行為が続けば同じ思想を持つ日本人がテロを起こす可能性だってあるんですよね。

安保法制により日本でテロが起こる可能性は高まる

先日、安倍政権により強行採決された安保法制。安倍首相や賛成派の人達は「安保法制は日本を守る為のもの」と主張します。その考えは間違ってはいませんが、同時にテロの標的になるという高いリスクも含んでいるんですよね。「日本を守る」というメリットよりも、「テロの標的になる」というデメリットが上回れば、それは日本を守る為のものではなくなってしまいます。

「なぜ安保法制がテロのリスクを高めるのか分からない」という人の為に簡単に説明します。

先ほどテロは価値観の押し付けや差別が原因で生まれると書きました。差別はさておき、価値観の押し付けは中東の国々に対して米国が長年やり続けている事です。だから、テロリストだけではなく一般的なイスラム教徒からも米国は嫌われているのです。そういった背景があって、アメリカの横暴さに耐え切れなくなった過激派が9.11同時多発テロを起こしたわけです。

日本はこれまで中立的でした。人道支援を積極的にやってきたこともあり中東の国々とは良好な関係を築けていたんですよね。しかし、安保法制によりアメリカの価値観を支持するようになったわけです。軍事的にもこれまで以上に協力していくことになります。となれば日本は敵視されるようになります。もちろん一般的なイスラム教徒は「それでも日本はアメリカとは別でしょ」と考えるはずですが、過激派は「日本はアメリカと同じ敵だ」ということになってしまいかねないということなんです。