安倍首相の「押し付け憲法」発言は戦争経験者への冒涜だ!
先日、民進党の岡田代表が憲法改正の論議を条件付きで容認することを表明しました。これは自民党の改憲草案を容認したわけではなく、あくまで改憲の論議を容認したということです。
安保法制はろくに議論されぬまま成立してしまったわけですから、そのような失態を繰り返してはならないわけです。国民の為にも自民党改憲草案の問題点を指摘し、より良きものにしなければなりません(特に「緊急事態条項」は”問題あり”と与野党問わず指摘されてます)。
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そして、改憲論議容認の条件の一つに上げられたのが、安倍首相が「押し付け憲法」という見解を改めることとしています。
なぜ「押し付け憲法」という見解が問題なのか? それを解説していきます。
日本人は憲法を受け入れることで戦争の罪を認めた
戦争に負けた日本は戦争を起こした責任を取り、ポツダム宣言を受託し、GHQによって作成された日本国憲法を受け入れました。
当時の人達にとって苦渋の決断だったと思います。今までの憲法を覆す内容だったからです(ご存知の通り、戦後日本は他のどの国よりも平和で安定している事から憲法による恩恵を受けた事は明白ですが、外国人が作った憲法を強制されるのはやはり苦痛だったはずです)。
苦渋の決断であったとしても、戦争を起こして5000万〜8000万人もの被害者を生み出した現実は非常に重たいものです。戦争の敗者が責任を負うのが世界のルールです。
そもそも、日本が戦争を起こしたのは外交力不足が原因です。当時、資源が枯渇して苦しい状況だった日本は、なんとしても外交に成功しなければならない状況でしたが力不足により失敗。そして、戦争という手段を取ったわけです。
憲法を拒否してれば日本は消滅していた
戦争の敗者が責任を取るのは国際ルールである事は先ほど話したとおりです。
ポツダム宣言や日本国憲法を受け入れる事が戦争責任を取ること意味します。
もし、これを拒否していれば、責任を取らない、戦争の過ちを認めないという事になりますから、アメリカを始めとする連合国による攻撃は続き、日本は完全に消滅していたはずです。消滅しなければアメリカの植民地になっていたでしょう。
日本の消滅、植民地化を回避出来たとしても、憲法を受け入れないという事は「戦争の放棄」をしていないわけですから、今も戦争を続けていた事は容易に想像が付きますよね。
戦争を知らない人が「押し付け憲法」と言うのは、戦争経験者の決断を冒涜する行為
憲法がGHQ(連合国)によって作られた以上「押し付け憲法」というのはある意味正しいです。しかし、戦争を知らない、体験してない人が「押し付け憲法」などと主張するのは間違っています。
戦争経験者の多くが苦渋の決断で「押し付け憲法」を受け入れたわけです。戦争経験者は戦争の罪を認め反省し、戦争に労力を割く代わりに、日本の発展や国際貢献に心血を注いできたわけです。そうやって、彼らは戦争の責任を取ってきたわけです。
しかし、安倍首相や改憲派の多くは戦争を知らない、経験してないわけですよね。そんな彼らが「押し付け憲法」と主張すれば、戦争経験者の反省や、これまでの貢献に泥を塗ることになるのです。戦争経験者が受け入れたものを拒否する事は「日本は悪くない」「日本の戦争は正しい」という意思表示と同じです。これは戦争経験者に対する冒涜でしかありません。
日本に生きる全ての人が憲法の恩恵を受けてきた
そもそも、「押し付け憲法」と主張している人含め、全ての国民が憲法の恩恵を受けているわけです。
戦後70年間、一度も戦争被害に遭わなかったのは、戦争を反省し憲法を受け入れたからですよね。
憲法のおかげで日本が平和なのではありません。日本人が戦争を反省したから平和なのです。
「押し付け」と主張する人は戦争を反省してない
「押し付け」という言葉が出ること自体が反省が無いことの表れです。
時代に合わせて改憲が必要なら「今の憲法は時代に合わない」と言えば済むのです。わざわざ「押し付け」などと言う必要は無いんですよね。それなのに言ってしまう。それは「日本は悪くない」「日本の戦争は正しい」という思いがあるからだと思うんです。
時代に合わせた改憲は必要かも知れませんが、戦争を反省していないであろう安倍政権・自民党による改憲は非常に危険だと思います。
「押し付け」を理由に改憲するのは「連合国(GHQ)が憎いから改憲」するようなもので、世界に対する印象は最悪です。もし、安倍政権下で憲法改正が成立してしまえば、日本全体が戦争を反省していないと世界に受け取られかねないのです。