迷惑行為に「がまんならん!」と相手を暴行した人を支持する人が多数。それって危険な思考です。
先日のニュースで、バイクの集団走行の騒音に腹を立て、鉄の棒で相手を殴り骨折させた旅館経営の男性が逮捕されたことが報じられましたが、これに対し男性を擁護する意見が多数を占めています。
カッとなって暴行を加えた加害者男性の気持ちも分からなくは無いし、それを擁護したくなる気持ちも分かりますが、加害者男性を非難する声がほとんど見られないどころか、「自分でも殴る」「男性を無罪にしてあげたい」「警察が働かないからショウガナイ」というような加害者男性を肯定するような意見が非常に多いです。これってちょっと危険だと思うんですよね。
加害者がやったことはいわゆる「私刑」です。自らの手で悪人を懲らしめたということです。
「悪いヤツを懲らしめて何が悪いの?」と思う人もいるかと思いますが、まず私刑は犯罪です。しかしそれは大した問題ではありません。一番の問題は歯止めが聞かなくなることなんです。
私刑を認めれば、正義感が極端に強い人は悪人を懲らしめるために全国を行き来して悪人に暴行を加えるようになるかも知れませんし、さらに過激化すれば悪人という理由だけで殺人を犯すような人が出て来るかも知れません。そして、今度はその報復としてあなたやあなたの身の回りの人に危険が及ぶことになります。私刑を認めるということはそういうことなのです。
私刑の究極系がイスラム国です。彼らは自身の判断で「悪」とする人を処刑しているわけですからね。日本は法治国家であり私刑を禁じ、皆がそのルールを守っているからこそ今の治安が維持されているわけです。