小浜逸郎氏の「在日特権という厳然たる事実」という主張に反論します
2014/12/22
在日特権に関して気になる記事があったので私の感想を書こうと思います。
この記事は評論家の小浜逸郎氏によるもので、概ねの内容には共感しますが在日特権に関する記述に関してはあらぬ誤解を生みかねないので反論します。
在日特権は存在しない
在日特権について過去の記事でも触れてきたように、そんなものは一切存在しないというのが私の主張です。
一方で「在日特権は存在します」と小浜氏は主張します。その理由はこうあります。
生活保護率は全体平均が千世帯のうち17世帯であるのに対して、在日韓国・朝鮮人は142世帯という突出した数字
生活保護の需給率の話ですね。この引用は右翼政党である次世代の党の独自調査によるものとのことでどこまで信憑性があるかは分かりません。これを事実とするならば数字だけ見ると物凄く在日韓国・朝鮮人が優遇されているように感じますが、これが本当に特権なのでしょうか?日本の役所が「あなたは在日韓国・朝鮮人だから優遇しますよ!」とひいきをすると思いますか?
これだけ日本人と差があるのは雇用の問題が原因です。
小浜氏は「差別は無く、収入面での格差も無い」と言っていますが、それは”就職してしまえば”の話です。大企業やコンビニ・飲食チェーンならまだしも、中小零細企業であれば”雇用のされ難さ”は事実として存在します。外国人を雇えばコミュニケーションコストが増えます。日本人と同程度の能力・人間性であればわざわざ外国人を雇用しません。多少日本人よりも優れているくらいでは日本人を雇用する企業がほとんどでしょう。
また、生活保護を受給せず餓死した日本人がいたように生活保護を受けることが悪いことかのように思い込んでいる日本人が多いというのも原因の一つです。正当性があって生活保護を受けているのにも関わらずネット中傷されることも珍しくありません。
永住外国人の無年金者が日本人の国民年金加入者よりも多額の受給を受けるという逆転現象も起きています
この一文はあたかも在日韓国・朝鮮人だけがそうであるかのように受け取ってしまいそうになりますが事実は異なります。日本人の無年金者であっても同じことです。
そもそも生活保護というのは年金すら払えないような貧困層の為にあるような制度なのである程度は仕方がないことだと思います。それにいつ自分が弱者の立場に陥るか分かりませんからね。40代半ばでいきなり会社が倒産して収入ゼロになってしまうことだってあるわけです。
通名や入管特例法が特権?
またその他に、「通名や入管特例法により犯罪がおこないやすい」ことを特権だと言っていますがこれはおかしな主張です。確かに”犯罪を行う悪人にとっては”特権ですが、多くの人は犯罪とは無縁な善良な市民です。その人たちにとっては特権でも何でもないわけです。
そもそも入管特例法が適用される特別永住者は実質的には日本人です。過去に日本は、日本人と同等の権利と日本国籍を与えることを条件に日韓併合をしました。そして日本が敗戦して一方的に在日韓国・朝鮮人から日本国籍を剥奪したわけです。本来なら特別永住者資格を与えるのではなく無条件帰化資格を与えるべきだったはずです。
小浜氏は帰化について
帰化しようとすればそれほどの面倒な手続きもいりません。さらに2008年には自民党によって帰化手続きをさらに簡略化するための法案が作られています
と在日韓国・朝鮮人なら簡単にできると主張していますが、実際は7、8ヶ月と大変手間も時間もかかります(参考)。日本人が1日だけ役所で手続きする場合ですら会社を半休取る必要があるわけですよね。それが7、8ヶ月続けば普通の社会人なら挫折してしまうでしょう(実際にそういう人は多いそうです)。
おわりに
小浜氏がどういう意図このような文章を書いたのかは存じ上げませんが、背景にあるものを加味しないで数字だけ取り上げたり、日本人にも共通するはずものを在日韓国・朝鮮人だけが行っていると思わせる書き方は公平性に欠ける書き方であり、それを真に受けたネトウヨや反韓・嫌韓派がヘイトスピーチを行う火種になってしまうので評論家である以上もう少し精査してもらいたかったです。