従軍慰安婦で日韓の主張が割れる理由。それは優遇・不遇それぞれの立場があったから
2015/07/20
安倍首相が夏に戦後70年談話を出すということで注目を浴びている歴史問題。今回は改めて韓国を中心として問題視されている従軍慰安婦問題について考えてみようと思う。
従軍慰安婦問題についてそれぞれの見解は主に以下のようなものだ。
- 日本政府・右翼・保守
- 日韓基本条約で賠償し解決済み
- 一部の右翼(ネトウヨなど)
- 韓国のデマ。従軍慰安婦なんて存在しなかった
- 韓国
- 誠意ある対応を要求
というように概ねこのような感じだろう。
日本政府が「戦後賠償によって解決済み」という主張をするということは「従軍慰安婦問題はあった可能性がある」と認めているということだ。
そもそも、このように意見が二分したのは「日本政府が当時の状況を把握しきれていない」からだ。政府すら把握出来ていないのだから、一部の右翼やネトウヨが言う「慰安婦問題は韓国のデマ」という主張は全く信憑性が無い。
現在の日本の社会問題と照らし合わせれば従軍慰安婦問題があった可能性は十分考えられる
政府が当時の状況を把握しきれていない時点で、韓国の主張が正しい可能性があることは間違いないのだが、現在の日本の社会問題などと照らし合わすことでその可能性はさらに濃厚になる。
日本には「優遇される人と不遇な人」、「高品質と低品質」、「ホワイト企業とブラック企業」というようにあらゆることに格差がある。具体例を挙げてみる。
- 治安が良い街と悪い街
- イジメが無い学校と有る学校
- 設備が整っている学校とそうでない学校(いずれも公立)
- 残業代がきちんと支給される会社とされない会社
- 誠実な政治家と不誠実な政治家(汚職など)
- 安心な食品と危険な食品(食品偽造・異物混入など)
というように様々なことに二面性があるわけだ。ほとんど全てのことにあると言っても過言ではない。
この例に倣えば従軍慰安婦問題も同じだ優遇されていた慰安婦もいれば奴隷のような扱いを受けた慰安婦がいてもおかしくは無い。
日本は今後どうするべきか?
物事には様々な側面がある。例えば慰安婦の強制連行については朝日新聞が捏造記事を出したことで非難を浴びたわけだがそれも一つの側面でしかない。朝日新聞が捏造したことは事実であっても日本政府が把握していないところで強制連行が行われていた可能性は十分にあるのだ。
だから、絶対揺るがない証拠が出てこない限りは「韓国・慰安婦のデマだ」なんて主張は言ってはいけない(よく使われる「慰安婦が高給だと示すビラ」も一部が優遇されていた証拠でしかない)。
韓国政府に今後も「誠意ある対応」を求められれば、まずは日本は日韓基本条約で賠償したことを明言すべきだ。しかし、謝罪する気持ちは持ち続けるべきだ。
「なんで何度も謝らなきゃいけないんだ!」と思われる人もいるだろう。しかし、よく考えてみて欲しい。
日本では様々な凶悪事件の犯人が服役している。彼らも罪を清算しいずれ出所するわけだ。しかし、世論は「刑務所から出てくるな」「お前を許さない」「どうせ同じことを繰り返すんだ」という非常に厳しいものだ。だから加害者は罪を清算しても謝罪の気持ちは持ち続けなけばならない。自分は罪を清算したつもりでも相手の感情は当時のままである可能性もあるわけだから。