バングラデシュのテロで日本人7人死亡。早くも安保法制のデメリットが浮き彫りに。賛成派はテロ被害想定出来なかったのか?
2016/07/04
7月1日バングラデシュで起きたテロ事件。
イスラム国(ISIS)系と見られる武装集団がレストランを襲撃し20人を人質に取った模様です。そのうち8人は日本人で1人が救出、7人が死亡しました。
このような事件が起きたのは非常に残念なことですが、安保法制が施行された今、日本人がテロの標的になることは想定された事なんですよね。
「テロに屈しない」と宣戦布告すればテロの標的になるのは当然
以前起きたイスラム国による日本人殺害事件(湯川さんと後藤さんが犠牲になった事件です)で、安倍首相は「テロに屈しない」という旨の表明をしました。これはテロリスト側からすれば宣戦布告として受け取られて当然です。そうなれば当然日本人はテロの標的として認識されるようになりますよね。
今回バングラデシュで起きた人質事件は、日本人とイタリア人を標的にしたものです。「誰でも良かった」みたいな無差別殺人事件とは異なり、明らかに標的を定めているわけです。
犯人はイスラム教の聖典コーランの一節を暗唱させ読めなかった人を拷問したそうですが、イスラム国に明確な敵対表明をする以前なら日本人であるという理由で解放されていた可能性もあるわけです。
つまり、安倍首相の「テロに屈しない」という表明がテロの引き金になった可能性は否定できないということです。
「じゃあテロに屈しろとでも言うのか?」と反論される人もいると思いますが、日本にそんな政治家はいないでしょう。
【「テロに屈しない」と表明しない】=【テロに屈する】では無いのです。
表明などしなくても粛々と対策を進めることは可能です。わざわざ安倍首相が表明したのはアメリカや支持者に「良い顔がしたかった」からでしょう。外国や支持者に対する政治的パフォーマンスでしかないのです。
また、同様に安保法制もテロの危険性を高めます。
安保法制によって”最悪のテロ被害国”であるアメリカと同調すれば日本も同一視される
先日施行された安保法制ですが、メリット・デメリットそれぞれ有ります。
メリットは世界一の軍事力を持つアメリカと同盟強化する事で戦争抑止につながり、有事の際もアメリカに協力してもらえる可能性が高くなるという事です。
一方、デメリットはテロ被害です。
ご存知の通りアメリカは「9.11アメリカ同時多発テロ事件」という史上最悪のテロ事件の標的になった国です。このテロの実行犯であるアルカーイダという組織はあまりにも有名ですが、そのアルカーイダから派生したのがイスラム国なんです。
つまり、安保法制によってイスラム国(アルカーイダ)の敵であるアメリカと同盟を強化するという事は、日本もテロの対象として認識されるということなんです。
アメリカが示しているように世界一の軍事力もテロの前では無力です。いくら国家が武装したところで丸腰の民間人を標的とするテロには全く意味が無いのです。
テロを理由に安倍首相を批判して何が悪い?
安保法制賛成派の人々は、反対派が安倍首相を批判・非難すると「テロを安倍首相のせいにするな!」とバッシングしますが、安倍批判の何がいけないのでしょうか?
テロリストは悪ですが、テロリスクを高める政策を”強行”したのは安倍首相です。
絶対的に正しい政策はありません。ですから安保法制がメリットをもたらす場合も、デメリットをもたらす場合も両方あるわけです。
しかし、誤った方向に国が進まないように良し悪しを判断する必要があります。「絶対的に正しさ」が存在しない以上、結果で判断する必要があるわけです。
そして、今回の事件は最悪の結果をもたらしました。これを皮切りに今後は日本でもイスラム国によるテロが起こる可能性が濃厚になってきたわけです。
この惨状を見れば政策を”強行”した安倍首相に批判が起こるのは当然です。民意を汲まず”強行”すれば責任はより一層重いものになるのは当たり前のことです。
また、テロが悪いのは当然のことです。しかし、「テロが悪い」で済ませていたら事態は悪化する一方です。なぜならテロリストを批判したところでテロリストがテロを止めるワケが無いからです。一方、安倍政権を批判すれば安保法制が見直され日本人へのテロ被害を軽減する事が可能になるわけです。
安保法制失敗に終わる。賛成派はテロのリスクを覚悟出来ていたのだろうか?
賛成派は反対派に対して「中国や北朝鮮の現実を見ろ」と口にしますが、反対派は今回のような事態が起こる事を恐れて反対していたわけです。そして、日本人がテロ被害に遭うという現実に直面することになりました。
反対派が散々「テロのリスク」を訴えてきたのに、安倍首相は「むしろ安全になる」とテロのリスクを軽視し、賛成派はそれに賛同しました。そして、実際にテロで日本人が犠牲になれば「テロリストが悪い。安倍首相のせいにするな」と安保法制を選択した責任を放棄するわけです。
賛成派は「日本人がテロの犠牲になるわけが無い」と思い込んでいたのでしょうか? それとも、安倍首相が言う「むしろ安全になる」という言葉を真に受けたのでしょうか? はたまた「中国や北朝鮮の脅威から日本を守るには仕方の無い犠牲」とでも考えているのでしょうか?
また、安保法制が施行された以降も、中国の戦闘機はこれまで以上の挑発行為を繰り返し、北朝鮮も核実験やミサイル実験を繰り返すという、全く抑止力になっていない現実があるわけです。
日本人に対するテロ被害は安保法制によって減るどころか増える一方ですし、中国や北朝鮮への抑止力も期待できません。この結果を見る限り安保法制は失敗したと言えるでしょう。
もう一度言いますが、結果が全てです。
安保法制施行後に”日本人を標的にした”テロ事件が起き、日本人が7名が犠牲になった事実は変えられません。「日本人を守る」どころか「日本人が標的に」になるという最悪の結果を生んでしまったのです。
「テロに屈しない」という表明が無ければテロに巻き込まれることは無かった?
勘違いされるといけないので補足しておきます。
安倍首相が「テロに屈しない」と宣戦布告しなくても、日本人がテロの標的になる可能性はあります。実際、過去に日本人がテロの犠牲になった事案はありますからね。
重要なのはテロに遭う確率に変化があるという事なんです。
以前は日本人がテロに巻き込まれる可能性は極稀だったんですよね。特別日本人がテロリストに憎まれるような事は無かったのです。
そして、安倍首相の宣戦布告によってテロに遭う確率はグッと上がりました(実際、起きてしまったわけです)。宣戦布告や安保法制により、日本が明確な標的に、憎悪の対象になってしまったのです。
つまり、仮の数値ですが、テロに遭う確率が以前が10%だとしたら、今は50%まで上がったという事なんです。
安保法制は廃止すべき
私は今からでも安保法制を廃止すべきだと考えます。
安保法制によって”踏み込んではいけない領域”に片足を入れてしまった日本、このまま世界の混沌の渦に日本も巻き込まれていくのか、それとも引き返して安全を確保するか。
一度踏み入れた足は無事元に戻る保証はありませんが、今なら犠牲を最小限に留めることが出来るかも知れません。
中国、北朝鮮の脅威は?
また、中国や北朝鮮の脅威もあるとは思いますが、両方とも仮にも国家です。国家である以上、ワケもなく攻撃を仕掛けてくる事はありません。
まず、北朝鮮の関心はアメリカと韓国。日本は眼中に無いので戦争に発展する事は無いんですよね(ミサイル実験が失敗して日本に落ちてくる可能性は有りますが・・・)。
そして、中国は今や世界2位の経済大国です。そんな中国が日本に対して侵略戦争でもしようものなら戦争で得るものより失う物の方が多いことは明白ですよね。今でも経済的には日本と中国は同盟国ですからね。戦争をするメリットが無いのです。
最悪、尖閣諸島は失うかも知れませんが、安保法制で世界の戦争やテロに巻き込まれる事と比べれば大した問題ではないと思います(気分的には良くないですが・・・)。
そもそも既に日本はロシアに北方領土を奪われて、韓国には竹島を奪われているわけです。そこに尖閣諸島が加わった所で大した損害にはならないと私は思います。むしろ中国と協力して経済を発展させて日本を豊かにしていく事の方が大切だと思います。
そもそも、安保法制をよく理解せず賛成している人が多い
ツイッターなどを見ていると、
- 世界でテロが起きているからこそ安保法制が必要だ
- 安保法制に反対するのはテロリストの仲間だ
- 安保法制が施行されたのにテロを防げていない・・・
といった意見が多いんですよね。
根本的に安保法制を勘違いしているんです。
安保法制は中国や北朝鮮といった対国家への抑止力を高める代わりに、テロ被害に遭う確率を高める”劇薬”なのです。
詳細は以下の記事にまとめていますので、よかったらご覧ください。