強行採決は判断力の欠如を意味する。安倍政権は安保法制を正しく運用出来るのか?
強行採決がまもなく行われるであろう安保法制。世間は賛成派と反対派の対立が一層激しくなっていますが、私はそれよりも『安倍政権が正しく安保法制を運用する事が出来るのか』が気がかりです。
ご存知のように安保法制の賛成反対の割合は、反対が大きく上回るというのが一般的な見方です。強行採決に関していえば賛成派も含めた大多数が反対している状態です。
出典:http://www.asahi.com/articles/photo/AS20150713004966.html
意見が割れるということは大きなリスクがあるということ
上の統計をご覧いただくと分かるように、安保法制に対する国民の意見は大きく二分されています。その理由は単純で賛成・反対の双方に大きなリスクがあるからなんですよね。一方がローリスクで、一方がハイリスクであれば必ずどちらかに支持が集中するはずです。
賛成派は「暴走が続く中国を放置していてはいずれは日本も危険になる」という理由で賛成し、反対派は「米国の戦争で自衛隊が犠牲になったり、日本がテロの標的になる可能性がある」という理由で反対するわけです。というように両方に大きなリスクがあることが分かります。
判断力が欠如しているから強行採決という強引な手段が取れる
多数の国民の意見を無視し強行採決するということは、成立させる事が前提になってしまっていて、反対派が懸念する自衛隊の犠牲やテロの脅威というリスクを軽視しているということになります。これはつまり安倍政権の判断力が欠如しているということです。
安保法制がノーリスクであれば強行しようと誰も文句は言いません。しかし、国民の半数以上が安保法制を成立させる事で別のリスクが高まると考えているから反対しているわけです。勿論根拠の無い反対ではなく、これまでのアメリカの戦争に対する姿勢やISIS(イスラム国)の行動などを加味した上でリスクが高まると判断しているわけです。
こういった反対派が提示するリスクを無視して強行採決するということは、安倍政権の判断力が著しく欠如していると言わざるを得ません。判断力が欠如していなければ、安保法制をより良きものにしようと議論を繰り返し”隙間”を埋めていくはずです。しかし、そういった姿は見られません。
どんな法律も使い様によっては薬にも毒にもなる
集団的自衛権は多くの国が行使していますが、日本のように反対の声はほとんど見られません。その理由は長いこと根付いていることによる『慣れ』もあると思いますが、それ以上に『政府の信頼性』が大きいと思います。
日本で安保法制・集団的自衛権の反対意見がここまで大きい理由は安倍政権が信用されていないからということに尽きる思います。ここでは言及を避けますが、安倍政権がこれまで数々の『信用を落とす不誠実な行為』を繰り返した事は多くの人が知っているはずです。
安保法制は人命を扱う法律ですから、『どのタイミングで』、『どのように』、『どれだけ』行使するかによって自衛官や国民の生死に大きく関わってくるんですよね。
例えば、アメリカの支援要請に対し二つ返事でOKを出せば、無駄に自衛官の命が失われてしまいます。また、安易な協力は日本がテロの標的になる可能性も飛躍的に増えてしまうはずです。逆に、その辺りの判断が的確であれば安保法制はとても有益なものになる可能性もあるわけです。
国民の命を大きく左右することを強行採決しまうような判断力の欠如した政権に、安保法制を正しく安全に運用することは難しいと私は思います。あなたは人命に関わる重要なことを強行採決する政権を信じる事ができますか?